鶴居村森林組合

■人と森に優しい森林生産

鶴居村はその全域が釧路湿原の上流にあり、面積の64%は森林です。鶴居村森林組合は、その半分に相当する190㎢の民有林を管理しています。そこでは、湿原の上流での森づくりのあり方を考え、2010年から林業先進国であるオーストリアの技術を独自に取り入れ、国内でも先進的な森林管理が行われています。門間孝厳参事に現場を見せていただきました。

 ここでは、ドイツで使われている「将来木施業」という技術を使って木を育てています。成長のいい木を選んで直径70cmほどになるまで育てるために、7~10年間隔で周りの木を間伐して空間を広げていきます。北海道では平坦な森が多く、沢筋に道を作って直接重機で森に入って木を切ることが多いのですが、ここでは等高線沿いに約100m間隔で引いた作業道から、伐った木をトラクターにつけた120mのウィンチで引き上げます。この方法は、切り倒したあとに周囲の木を傷つけないためにウィンチに架ける前に枝払いの作業が必要ですが、重機で森を踏まないので地面を痛めません。道まで引き上げた木は、ユンボにつけたプロセッサーという機械で、注文のあった長さにその場でカットします。

 作業道の断面を見ると中央が屋根型に盛り上がって作られ、山側には側溝が掘られて間隔を空けてパイプで谷側に排水する構造になっています。この道は、雨が降るとぬかるむ森の表土(黒ボク土)を剥ぎ、その下にある雨水が染みこむ砂質土を踏み固めてつくります。こうすることで雨が降っても水が道路方向に流れず両脇に出ていくので、砂利を敷いていないにもかかわらず路面が先掘されません。道が壊れなければ土砂は流出せず、森を荒らさないとともに維持管理の負担を減らすことができます。

 こうした技術は日本では学べないので、職員を繰り返しオーストリアに派遣するとともに現地のフォレスターを招いてトレーニングを重ね、ほぼ独学で習得したそうです。施業技術だけではなく、視認性がよくチェーンソーにも耐える輸入品の作業服等を導入するなど安全管理にも投資し、現場も土日休業の働きやすい勤務体系としています。全体で11人という小所帯ですが、こうした勤務環境を確保することで道外からの転入者も含めて20代の職員が複数働き、活気のある職場となっています。

 工場では主にオガ粉を生産していますが、ペレット燃料も少量生産しており、私たち再生普及行動計画オフィスも冬の暖房源として使用しています。雨で現場の作業ができないときには薪も製造し、比較的安価に販売できるので村外からの購入が多いそうです。

 「森林組合は人の財産を預かる仕事。手間をかけても丁寧にやらなければならない」。門間さんの言葉には林業人の誇りが宿り、タンチョウや酪農だけではない、鶴居村の「元気」を感じます。(2015年9月1日取材)

間伐<重機を森に入れずに間伐>

作業道<中央を屋根型に盛り上げた作業道>

女性<若い女性が働く現場>